去る2月8日、現在建築中の「椅子の学び舎」がある富士河口湖町の〈木夢の森〉に「縄文大工」の雨宮国広さんをお招きして、NPO法人主催の古式製材ワークショップが行われました。
一本の赤松の立木を鉄斧と石斧だけを使って伐り倒し、機械に頼らず昔ながらの方法で四角い断面に整材する古式技法を学びました。
物を生み出す原初の営みを想起させる石斧によるはつり作業は、鉄の刃物の切れ味に慣れ親しんだ現代人の私たちにとってはカルチャーショックでしたが、効率性とは次元の違う、樹との交感とも言える古代人の時間の流れを実感した気がしました。
私が師事した三宅島の宮下英雄棟梁は道具の中でもチョウナに最も愛着をもっいたとしばしば語っていて、今回その仕上げ削りも体験させていただくことができました。
このチョウナ仕上げは、現在、刻み加工中の「工房」の松梁仕上げに生かされる予定です。
雨宮さんは、下記の趣旨のもと現在クラウドファンディングに挑戦中です。
『縄文大工としての活動を通し、これからの持続可能な暮らしのために、子どもたちと共に「全ての生き物たちにとってやさしいものづくりとは何か」を考える必要性があると感じるようになりました。そこで、全国47都道府県を巡り、各地の子どもたちと石おので丸木舟を作り、試乗体験をするプロジェクト「Jomonさんがやってきた!三万年前のものづくり」を立ち上げました。』
「椅子の学び舎」の理念でもある「木の文化、森の文化を繋ぐ」活動とも通底するものがあり、私も応援しています。
詳しくはこちらを。
クラウドファンディング Jomonさんがやってきた!全国の子どもたちと石おので丸木舟作り
樹の命をいただくにあたって先ずは祈りを捧げます。初めに鉄斧で「受け口」をはつり始めます。
「追い口」のはつりでは石斧も経験しました。
「受け口」と「追い口」の形状。
倒した後は大きな2人用手鋸で切断。
切り込みを入れた後に、横から斧ではつり取っていきます。規則的な斧のはつり跡が美しい。
斧跡をすくいとっていくようにして、チョウナでハマグリ状の仕上げはつりをほどこします。